最初は聖母子像かと思いました。
 それにしては構図が珍しい。
 普通、聖母子だと、マリアが赤ちゃんを抱いている姿で描かれるものです。まるで買い物へ行くように、手を引いている図は見たことがありません。
 実はマリアではなく、聖女ドロテアでした。
 中世の伝説を集めた「黄金伝説」によれば、聖ドロテアは古代ローマ時代の貴族の娘でしたが、キリスト教徒だったために迫害され、処刑されることになりました。
 その時処刑人がドロテアに向かって「本当におまえの言う天国とやらがあるのなら,、天国からリンゴを届けてくれ」とからかったそうです。
 すると後で、幼いキリストが処刑人の前に現れ、リンゴを与えたといいます。

 この絵では、ドロテアはまるで買い物姿のお母さんのように、優しくイエスを見守り、
 イエスもまたお出かけする子供のようにうれしそうな笑顔を浮かべています。
 その表情があんまり可愛いので、ここで紹介させてもらいました。