男の腕が背中に食い込む。私は目を閉じ、彼の首に腕を巻きつけて身を反らせる。
(これ以上の愛には耐えきれない)と抵抗する私、
(もっとほしい)と貪欲に愛をむさぼる私、
2つの私に挟まれて、意識は風に舞い散る雲のように飛び散っていく。
 

夢はいつか覚める。それほど時間はかからない。
 

微かに開いた戸口から、屋内に暁(あかつき)の空気が流れ込む。
瞼の裏で、微かな光の気配を感じ取り、もうすぐ夜明けが来ると知る。

朝は、新しい未知の始まりと同時に、昨日への絶望だ。
一晩中愛し合いながら、彼とこの時間まで眠ったためしがない。
うたた寝から醒めると、一晩中同じ夢を分け合っていた人は消えて、気配も体温も、もう何時間も前に消え去っていたことを自覚する。
満ち足りた孤独な夜明け。